森奥の水郷


「あー…。もしかして、ご両親はウェディングドレスを知らない?」


「私だって、聞かされるまではそんな単語聞いたことも無かったわよ。
彼は多分、興味半分で承諾したんだろうけど…」

ブツプツと呟く様子は、どうやら複雑な心境らしい。
まぁ、解らなくもないから苦笑いで返すしかないが。









この村は、現代の知識が欠けている――と言うより、無いに近い。
パソコンも無ければ携帯も無いし、繋がらない。
テレビも、車も、冷蔵庫も無い。
山奥だから電線が届いてないのかな、と思ったけれど見える範囲に高圧電線なんて見当たらない。

本当に、此処だけ時代に取り残されたような――過去にタイムスリップしたかのような場所なんだ。


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