森奥の水郷


「ほら、突っ立ってないでさっさと荷物置きなさいよ。」


「はーい…」


靴を脱いで木の温もりに触れた途端、足がぐんと重くなった。
そう感じるくらい、私の足は意外と疲れていたらしい。

ノロノロと壁際に向かって、「よいしょっ」と小さな呟きと一緒に荷物を降ろすと…


「アンタって奴は…ホントに若くないわ。」


…なんてお小言を貰ってしまった。

しょうがないじゃん、疲れたんだからっ!

心の中でべーっと舌を出してみると、お小言の代わりに鋭い睨みを向けられた。


「もー、解ったよ。
今度からはなるべく口に出さないようにするからさ?」


「まったくよ。いい?
私の親の前ではそんな若さの欠片もない事言わないで。
私まで勘違いされそうだから。」


「だから解ってるってばぁ…」


いくら親友の傍で気が緩んでるとは言え、そんなヘマはしない筈。

……………多分。


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