森奥の水郷
いつまでも居る訳じゃない、それは解ってる。
現に私の祖父母は既に亡くなっているから。
だから、甘えてばかりもいられないって事は解ってはいる。
解っているが…何一つとして行動していないのも事実。
親が居る環境が当たり前だと思ってるせいで、自立心があまり無いのだろうか?
それとも、ドラマであるように辛い経験が無いからだろうか?
よく、解らない。
「親孝行かぁ…そんなの、言われても思い付かないよ。せいぜい、二人を旅行に連れていくくらいしかさ。」
「そんなの簡単よ。孫の顔見せてあげればいいんだわ。」
「ぶっ……!」
思わず飲みかけたお茶を吹いてしまった。
ゲホゲホと咳き込んでいると、バシッと背中を強く叩かれ、目の前に手ぬぐいがひらりと落ちてくる。
「私の家を汚さないでくれる?」
不機嫌極まりないと言った様子で見下ろすさまは、母親と言うより女王様だ。
「ちゃんと拭いて後始末するってば…」
嗚呼、無情…。