森奥の水郷
家に着くと、やっぱり鍵は閉まっている。
両親はまだ寝ていて、消し忘れたテレビが唯一音を放っていた。


(この人達とも、2週間は会わないんだよなぁ)


そう思うと、何だか不思議だ。
まるで夜逃げみたいだと想像する自分が可笑しくて、思わずクスリと笑みが溢れてしまった。

ともあれ、いつものように親が起き出す前に家を出なければ。

カチャッ…と最小限の音量に留めながら鍵を開け、ドアを開ける。

そして足音を忍ばせ、二階の一番奥にある自分の部屋へ。
部屋の下は物置だから多少音を立てても平気だけど、油断は出来ない。

とは言え、既に準備は出来ていたりする訳で…(発作的に行きたくなるから)

後は着替えて、書き置きを残すだけ。


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