森奥の水郷


ガタン、ゴトン


電車が奏でるありきたりな音と眠気を誘う振動。
誘惑に勝てず眠り込んで、目を開けたら辺りは山だらけ。
ぽつぽつと民家が見えたりして、けどまた緑の中に埋もれての繰り返し。

毎度来る度に思う。


(田舎なんてもんじゃない…ド田舎だ…)


乗ってる電車も1両編成のワンマン電車だし、乗客も3つ前の駅で1人降りたから私だけ。
そのお陰で荷物を訝しむような視線は無くなった訳だが…


「ふぁ……」


また欠伸が溢れ落ちた。


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