キミがいたから~Thank you~
肌寒くなってきたこの頃、
毎朝、祐哉が迎えに来てくれるようになった。
姉は朝早くに家をでてるから、姉にはバレなかったけど、澪凛にはばれてしまった…
「もー、彼氏できたんなら、早く言ってよー…」
早くって言ってもね…
「いってきまーす」
玄関を開けると祐哉が立っていた。
「あ、眞凛、おはよー」
携帯をとじてこっちを向く。
「祐哉、おはよーっ」
祐哉を見るなり飛びつく。
「うおっ」
眞凛より、少し低い背で眞凛を受け止める。
「えへへ」
思わず、笑みがこぼれる。
それを見て、祐哉も微笑む。
こんな幸せな毎日がこれからも、続くんだと思っていた矢先…。

「ただいまー」
学校から帰ると見慣れない靴があった。
でも、なんか、懐かしい。
「おかえりー」
そこには笑顔の…母親がいた。
「あ、れ?なんで?」
「仕事場所が変わったのよ。」
「え、ここに?」
「…それが…」
リビングで話を聞いた。
「え…?みんな、行くの?」
「…行かないといけないの…」
母から告げられた。
引っ越さないといけないことを…
「田舎…?」
「…えぇ…」
…やだ、祐哉と離れるなんて、やだ…
「一週間後、引っ越すから、部屋少しずつ片付けなさいね。」
「…うん…」
この1週間を大切に…しないと…
部屋に戻ると、涙があふれ出てきた。
「っ…こんな、泣き虫じゃ…なかったのに…」
でも、こんなに泣くようになったのは、祐哉…大切な人ができたから…。
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