僕等の透明な夏

『な、なんでもない。ありがと』

あたしは渡されたグローブを左手にはめた。

「もうちょっと後ろ下がって~」

『このくらい?』

「そうそう。いくよ~」

佑人の投げたボールは弧を描いてグローブに落ちた。

あれ…これ…この感触…

「ボールで会話するんだよ」

『ボールで会話?』

そう言ってあたしもボールを投げ返した。
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