【花集】あの花火が遠くに見える
ゴクッ……。ゴクッ……。ゴクッ……。
「ぷっふぁ~あ!! ウメー!!」
島野の表情は、かなりご満悦だ。
「……オヤジくさいな、お前」
「うっさいわねー、ほっといてよ」
島野はプン、と頬を膨らまし、僕から顔をそむけた。
「普通にしてりゃ可愛いのに……。そう言う所がマイナスなんだよ」
「今、何て言った?」
島野は目をランランと輝かせ、僕の顔をのぞき込んだ。
「だ、だから、普通にしてりゃ……」
「その先」
「……………………」
島野の真剣な顔つきに、僕は何故か、その後の言葉が出てこなかった。