【花集】あの花火が遠くに見える
ドーン……。パラパラパラ……。
ドーンドーン……。パラパラパラ……。
しばらく僕らは、無言で花火を見つめていた。
ゴトゴトゴトゴト……。
洗濯機は、最終工程の脱水に差し掛かっていた。
「そろそろ洗濯、終わるんじゃねぇか?」
僕は島野に話しかけた。
「そうだね……」
島野の表情は、何か寂しげにも見えた。
「早く帰らないと、また怒られるぞ?」
「うん……」
島野の返事は、どこか気がなかった。