【花集】あの花火が遠くに見える
ゴトン……。
洗濯機が停止した。
「あ……」
島野が、ふと声を上げた。
「花火も……。終わっちゃった……」
「ああ……」
チリリリリリリン……。チリリリリリリン……。
辺りはまた静寂が戻り、虫の音が響いた。
「戻るぞ」
僕は島野に、声を掛けた。
「うん……」
「何だお前? 何か言いたそうだな?」
「ぅん……」
島野の様子がおかしい。
普段、こんな表情を見せるヤツじゃないのに。
今日の顔は、やけに弱々しい。
何なんだ、一体。
「あのね……」
「おう」