ボクは誰?
物音に気づいたお母さんが、

ボクに話しかけてきた。


「ん。何だか眠れなくて。」


「何か悩みでもあるの?」


「まあね。」


「有希。悩みがない人って、どこにもいないのよ。」


「そうなんだ。じゃあ、お母さんもある?」


「もちろん、あるわよ。」


「へー。どんな悩み?」


「主婦だから、お金のこととか、子供のこととか、家族の健康とか色々よ。」


「ふーん。」


「有希の年齢なら、勉強とか友達との関係とか、恋愛の悩みが多いんじゃない?あとは外見も。」


ドキッ!


「さすがお母さん。何でわかったの?」


「当たり前でしょ?私だって、有希ぐらいの年齢の時は、そういう悩みがあったもの。」


そうだよな。

お母さんだって、

いきなりお母さんな訳ないか。

恋愛に悩んだり、

色々経験して結婚して、

ボクが生まれて、

お母さんになったんだよな。

考えたら、

今ボクが悩んでいることを、

お母さんも体験してきたんだよな。

あ、

男子になりたいってのは、

ないだろうけど。

でも何だか、

お母さんに相談したくなった。

今のお母さんなら、

わかってくれるかも。



まだ話す勇気が出ないけど。



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