ボクは誰?

部屋に戻って

もっと話し合いたかった。

でもお母さんが、


「もう遅いし、これからのことは、時間がたっぷりあるんだから、ゆっくり考えて話し合って決めましょ。」


「うん。」


「大丈夫よ。お父さんにはまだ黙っておくから。とりあえず今夜はもう寝なさい。」


「うん。おやすみなさい。」


「おやすみ。」


寝室に戻ろうとするお母さんの、

背中を見ていたら、

なぜか涙が溢れ出てきた。

そんな姿を、

誰にも見られたくなかったし、

誰にも知られたくなかったから、

ごまかすように、


「あ、お母さん。ありがと。」


それだけ言って、

走ってボクの部屋に入った。



まさか、

カミングアウトするチャンスが、

こんなに早く、

しかもいきなりやってくるなんて。



わからないもんだな。



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