ボクは誰?
「おー!高橋じゃん。久しぶり!」


大貴からも声をかけてもらえた。

大貴もボクを、

『ボクちゃん』と呼ばない。

変わらずにいてくれたのが、

嬉しかった。


「有希。ずっと前からメールしても返事をくれないし、電話しても出てくれないのはどうして?」


「大貴がいるじゃん。ボクはもう用事がないだろ?」


「でも私にとって、有希は大切な親友だよ?」


何て答えればいいんだ?

史佳が幸せになるなら、

史佳を苦しませたくないから、

ボクは史佳の前から去ったのに。

正直に気持ちを、

言うことはできない。

ボクの中で封印すると決めたから。


「おーい!高橋ー!」


ラッキーなことに、

晃が到着した。


「ごめん。約束があるんだ。じゃあ。」


「あ、待ってよ!有希ー!」


史佳の声を振り払うかのように、

ボクは、

晃のところへ走って行った。





これでいいんだ。

これでいいんだ。



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