ボクは誰?

あれから

結局本に集中できなかったから、

ボクは図書館で読むのをやめた。

そして本を数冊借りてから、

絵美と別れて家へ向かった。



ちょっと様子を見て、

絵美が来てないのを確認して、

ボクは慌てて図書館に戻った。



そう、

あの『本』を借りるために。



図書館の司書の人は、

今来たばかりの人が、

また来たって顔。

ボクだって恥ずかしいんだぞ!

ちょっと周りをキョロキョロと、

確認してからやっと帰宅。


「あら、有希。おかえり。」


「ただいま。」


「今ね、史佳ちゃんが来たのよ?」


「史佳が?」


「そう。たった今帰ったところだけど。」


その言葉を、

最後まで聞かないうちに、

ボクは、

家を飛び出していた。



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