ボクは誰?
「じゃあ、史佳も笑わないで聞いてくれる?」


史佳の力を借りて、

ボクも思い切って言ってみよう。

嫌われるかもしれない。

『変な人』って思うかもしれない。

でも今夜は、

あの空の満月が、

ボクに力を、

貸してくれそうなんだ。

今しかチャンスが、

ないかもしれないんだ。


「うん。どうしたの?」


「いつだったかネットで調べていた時に、気づいたんだけど、どうやらボクは『性同一性障害』かもしれないんだ。」


「??? なにそれ?」


勇気を出せ!

有希、

勇気を出せ!

史佳ならきっと大丈夫。


「ボクの場合なんだけど、わかりやすく言うなら、体は女の子なんだけど心は男の子なんだ。ボク、子供の頃からスカートをなぜ履かなきゃいけないのか?それがわからなかった。胸が出てきた時、すっげーショックだった。生理が来た時も、すっげーショックだった。ボクの中では男の子なのに、体は女の子なんだって、嫌でもわからせられたってゆーか、うまく言えないんだけど、常に心の中で葛藤しててさ、すっげー苦しかったんだ。」


史佳はどう思ってる?




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