ボクは誰?
「怖くない。怖くない。」


史佳が、

何度も何度も、

呪文のように言いながら、

ボクの頭を撫でてくれた。



その瞬間史佳を、

抱きしめたい衝動に駆られた。



ダメだ。

ダメだ。



史佳を抱きしめたら、

全ておしまいになる。

史佳とこうして話すことも、

史佳と一緒にいることも、

全てが壊れてしまう。



苦しいよ、

史佳。

すごく、






胸が苦しいよ…。



< 192 / 406 >

この作品をシェア

pagetop