ボクは誰?
「いっただっきまーす!」


朝食を食べていたら、

視線を感じた。


「ん?」


気づいたら、

お母さんと史佳が、

ボクを見てる。


「何?ボクの顔、何か変?」


「何でもないわよ。ほら、気にしてないで食べなさい。」


「…うん。」


あれ?

さっき、

うっかり『ボク』って言っちゃったよ。



でもお母さん、

何も注意しなかったなー。

あんなに言葉遣いに、

うるさいはずなのに。


「有希、病院に行ってみる?」



ブハッ!



思わず口に含んでいたご飯を、

吹き出してしまった。


「有希、汚いわねー。ダメじゃないの。」


「だって、お母さんがいきなり…。」


「今朝、史佳ちゃんから聞いたわ。病院に行きたいけど、ずっと悩んでいたんでしょ?」


「そりゃそうだけど…。」


「なら、行けばいいじゃない。」


「でもお父さんが何を言うか…。」


「お父さんにはお母さんから話しておくわ。史佳ちゃんがついて行ってくれるって言ってたから、今日病院に行ってきなさいよ。」


「お母さん。もしボクが男の子ってなっても、ショック受けない?」


ボクはそれが気がかりだった。



< 195 / 406 >

この作品をシェア

pagetop