ボクは誰?
気づいたら土手にいた。


「史佳。」


名前を呼びながら振り向いたら、

史佳は静かに涙を流していた。



だよな。

知っていても、

いざ見たら辛いよな。




でも、

ボクが守るから。

悲しみの底から、

ボクが救い出すから。


「あは。笑っちゃう。」


涙を拭きながら笑う史佳。


「無理に笑うなよ!何で無理するんだ?ボクは全て受け止めるから。だから辛い時は『辛い』って、言っていいよ。他の人には言えなくても、ボクになら言えるだろ?」


「うん…。」


「なら、もう無理はしないで。泣きたい時は泣いていいからさ。」


「有希…。」


史佳はボクの胸に飛び込んで、

号泣していた。

ボクは、

史佳を抱きしめながら、

優しく史佳の頭を撫でた。



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