ボクは誰?
「ねえ、有希。私のことが嫌いになったの?」


「そんな訳ないだろ?」


何も話さないつもりでいたのに、

気づいたら、

反射的に返事をしていた。


「じゃあ、なぜ?」


「言えないよ。」


「言って。」


「言いたくない。」


「わかった…。有希はもう、私の親友でいてくれないの?このまま『さよなら』なの?」


何も言えなかった。

心の中では、

いっぱい弁解していたのに。

頭の中は、

史佳でいっぱいなのに。

ボクの口が開いてくれない。

うまく言葉にできない。



史佳。

失いたくないよ。

ボクがいつも、

いつでも、

どんな時も守りたいんだ。

それには、

強くならなきゃいけないんだ。



でも、

言葉にならない。

何も言えなかった。



< 76 / 406 >

この作品をシェア

pagetop