ボクは誰?
「おじいちゃんちに行くとか、おばあちゃんちに行くとか考えたの。でも今はお父さんやお母さんの顔も見たくない。だから、おばあちゃんちに行っても、おばあちゃんちに行っても、いつか必ず顔を見るから行きたくないの。」


「うん。」


「どうしたらいいか、わからなくて…。でも有希に連絡しても、話すチャンスがなくて、他に相談できるのは大貴しかいなかったの。」


「そんな大変な時に、連絡してなくてごめん。」


「ううん。でも勇気を出して電話したら、出てくれた。それだけじゃなくて、ここまで来てくれた。それがすっごく嬉しかったの。」


涙を拭きながら、

笑顔を作る史佳。


「そうだ!」


ボクは名案が閃いた。


「なあに?」


「ボクの家においでよ。すぐに決めなくてもいいからさ。とりあえず今夜はうちに泊まりなよ。」


「いいの?」


「もちろん!ボクのお母さんも歓迎してくれるよ。」


「よかったー!今日は帰りたくなくて、すっごく困っていたの。」


何だか嬉しい。




でも、


その後の史佳の言葉で、



一瞬かもしれないが、

ボクは固まった。



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