好きを私にください。
あたしは渋々ながらも家に帰って、部屋に入るとすぐに勉強道具を広げた。


「普通客に茶ー出すだろ。」

「あれっ、先生、お客さんだったの?」

「あっ、今先生っつった!」

「だって今から先生じゃん!!」


そういいながら数学のワークを開いた。


「あたしだけのねッ☆」


そう言ってから問題を解き始めた。

今回の試験範囲は平方根。


簡単簡単♪あたし、計算類だけはできるんだよねっ!


「へー結構できんじゃん。」

「すごくない!?」


理科全然できないけど!


「すごいすごい。」

「…。」


なんか適当っぽい返し方だな…。


「そりゃどーもッ!!」


簡単~!!キャーっ、たーのーしーいーッ♪

…あたし、テンションおかしい…。
先生のおかげだろうか…。


「俺いる意味無いじゃん。」

「あ~、今回の数学はね~。」

「…否定しとけよ!」

「する意味分かんなぁ~い。」


先生はね、いてくれるだけでいいんだよ?

それだけであたしのやる気になるんだから…。


「うっし、理科!」


大分進んだから、次は理科!!

範囲は慣性の法則とか、等速直線運動とか。


「なんだ、結構理科もできてんじゃん。」

「あ~、3年になってから先生変わったんだよね。」


今まではおじいちゃん先生で、むちゃくちゃ厳しかったんだけど、定年で退職しちゃって。
今年から先生が変わったってわけ。
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