好きを私にください。
「そんなにひどかった?」

「なかなかね。
もしもあの塾長が言っていたことがそのまま噂として流れれば、また違う噂が出てくると思うわ。
“菅田さんが寝取った”とか“高里先生が二股だった”とか。」


恐ろしい考えだな、それ…。


「まぁ、どんな噂になるかは分からないけど、今の中学生はませてるから。」


いやいや、あなたに言われたくないです。


「怖いものね。」

「まぁ…。」


それも覚悟で付き合ってるつもりだったけど…あたしの考えは浅はかだったって、今回の件でよーく分かった。


「でも佑実さん、本当にどうしてうちの塾に…。」

「私、和樹を追いかけて大学まで行ったのよ?」

「…ご不幸ですね。」

「本当よ。私には話してくれなかったけど、入学したら和樹いないんだもの。」

「あはは…。」


愛想笑いしかできません!!


「でもまぁ、そこでそのまま教員免許とって…。」

「教員免許あんのに塾で終わんの?」

「採用をもらうまではここにいるわ。」


先生って採用とかあんのかな…。
分かんないんだけど。


「まぁしばらくはお世話になるわ!」

「…No,Thank you….(結構です…。)」


お世話になられたくない!


「それに、2人のこと、もう少し近くで見たいしね。」

「見てどうすんの?」

「…幸せ気分を味わうわ。」


…なんかゴメンナサイ。
ついでにその笑顔、怖いです。


「そういうこと!早く帰りなさい。」

「うん、さよなら。」

「そうそう、和樹が後で行くって言ってたわ。」

「了解!それじゃ☆」
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