好きを私にください。
車に乗り込んで、えへへって笑った。


「何アンタ、なんかいい事あったの?」

「うん♪」

「ふぅ~ん、そんないい事?」


先生は車を走らせながら言う。


「うん、体の状態がよくなってたんだぁ♪」

「マジで!?よかったじゃん!」

「うん!」


素直に嬉しかった。


「先生、どこ行くの??」


出店のある辺りからどんどん離れて行く。


「もうちょっといい所?」

「??」


別に綿あめー!とかかき氷ー!とか無いからいいけど…どこ行くんだろう。


そんなあたしを余所に、先生はどんどん車を走らせて行った。

やっと止まったのは、10分後くらいだった。


「この辺なら誰も来ないだろ。」


って言った。


「だね~。」


そこは花火の打ち上げ地点や出店よりも高い所で、人気の少ない所だった。

結構よく見えそう。


「俺らが見られるとまた厄介な事になんじゃん?」

「ね…。」


そういう現実を目の前にすると、やっぱ辛いもんだなぁ…。

ただ好きなだけなのにさ…。


車から降りて、少し前に出た。


「んっ~!!!」


手を左右に広げて、伸びをする。


「アンタ浴衣でしょ。」

「関係なぁ~い!」
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