好きを私にください。
「先生、夏期講習大変?」


あたしは突然切り出した。


「まぁね~、喉痛くなるし。」

「あはは…。」


よくあたしらのクラスでも先生は叫んでる。
そりゃうるさいもん、ね…。

て、あたしもクラスで2番3番を競ううるささなんだけど。

1番うるさい人は…もう決定的なんだ。


「明海も静かにしてくれりゃいいのに。」

「無理!先生の授業だとテンション上がっちゃうんだもん。」


なんて言っていたら


-バァァァンッ


「ッ…始まったね!」

「おぉ。」


ビックリしたぁ…。

キレイだなぁ…。キレイな物見てると、辛いのなんか忘れちゃいそうだよ。


思わず言葉を失っていた。


「明海?」

「何…?」

「めちゃくちゃ切なそーな顔してっから。」

「そう?」


でも…花火って、切ない。
儚い感じがするんだもん。

花火って、人みたい。


キレイで輝いてて眩しいのに、すぐに儚く、切なげに消えちゃう。


…止め止め!


「先生。」


あたしは隣にいた先生の肩の辺りに頭を付けた。


「…ん?」

「あたし、噂なんかに負けない、何があっても先生といたい…。」


なぜかそう決心したんだ。


「ううん、先生といる…。」
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