好きを私にください。
「あたしここの塾、ちゃんと卒塾できるのかなぁ…。」


思わずポツリと呟いた。


「大丈夫じゃん?先生だって何かしら考えてると思う…よ!」


なんだ今の間は!!!

もぉ…。


でもま、マイナスに考えてても仕方ないんだけどさ…。

あ~、退屈!


夏休みって、プールとか海とか花火とかお祭りとか。楽しみな行事が目白押しなのにぃ。

なのに、受験生のあたしたちにはお勉強しか無いんだなぁ~。


他の教室から聞こえて来る声に耳を傾けた。


「だからここは、y=3になって…」


先生…。

せっかく両想いになったのに…こうして塾で会うくらいで…ろくにデートもなんもしてないし!

って、あたし浮かれすぎ…?


受験生だもん、ちゃんと勉強もしないとなぁ~…。
先生だって忙しいんだし。


「菅田さん、聞いてる!?」

「えっ、あ、聞いてる聞いてる!」


ヤバい…ちゃんと授業受けなきゃ。

と言いつつ、和ちゃんの声に耳を傾け続けてるあたしがいたり。


じゃないとやってらんないよね、毎日毎日。

塾に来る楽しみの5割は先生だ。
残り5割は…いろいろじゃんっ?

あは☆


それから家に帰ると、珍しくお父さんがいた。


「お父さん…。」

「おぅ、おかえり~。」

「ただいま。」


別に普通なんだけど…そういう年頃なのかなぁ、お父さん、嫌なんだよね…。

でも正直、八つ当たりされてる感もあるし…。


やっぱダメだなぁ、あたし…。
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