好きを私にください。
「何隠してんの?」

「だって!!」


先生が見てたのは塾の夏期講習用のテキスト…理科。

真っ赤なんですけどっ…。
間違いが多くてね…?


「随分ヒドイ…。」

「ゔっ…。」

「なんか俺自信無くすわ…。」

「ゔぅっ…!!」


何これ!!あたしだって頑張ってますけど!?


「アンタちゃんと授業聞いてんの?」

「…聞いてます。」


先生に夢中にならないように頑張ってます!

てか先生の声は全部拾ってるから聞き洩らしは無い!!…はず。

あ、でも右から入って、左から抜けてるかも☆


とか言ったら殺されかねない。


「数学もなかなかのもんだったね?」

「どっから引っ張り出してんのさ。」

「カバンから…出てたから。」


…確かに出してたけどね!?


「はぁ…。だってしょうがないじゃん、理数系苦手なんだもん。」

「まぁ確かに文系に比べて理数系は悪かったな、全体的に。」


グサァッて来たよ…。


「あたし文系人間なの。」

「自称だけどな~。」

「自称でいいです。」


数学でできるのは計算のみです。

図形・グラフ系はできません。


「俺が教えてやってもいいんだけど、夜更かしになるからダメな。」

「別にこれから勉強する気も起きないよ…。」

「じゃあいつ宿題すんの?」

「明日の午前中。」


塾は午後からだからね。
< 196 / 350 >

この作品をシェア

pagetop