好きを私にください。
「ねぇ、先生。」

「ん?」


優しい声…あたしの大好きな声。


「好きだよ…。」

「何言ってんの、急に…。」

「…この星空見てたらさ、あたしたちなんかちっぽけなんだって…儚いんだって思えて来るから…。」


急に…先生が、離れて行っちゃうような気がしたから…。

だから…言いたくなった。


「いなくならないでね…?」


涙をこらえながら言った。


「…うん。」


好きで好きで、どうしようもなくて。

今のあたしから先生がいなくなったら…どうなっちゃうんだろう。


もぬけの殻って言葉が…似合うかもね。


おかしくなっちゃう自信があるの。


「あたし、星座になりたいなぁ…!」

「はぁ?」

「だって…星座は、離れること、無いじゃん。」

「でも爆発とか起きちゃうかもよ?」

「…そのときは、近くの星ってことで、巻き添え食うよ。」


ずっと先生と一緒がいい。


「ずっと一緒の、1つの星座がいいな。」


涙が零れ落ちそうになる。

なんでこんな事で泣そうになっているのか…何もかもが分からないけど…。


あたしは気付かなかった。

この時、2つの星の光が弱まって


それぞれが、離れて行きそうになるのを。


あたしは忘れてた。





現実を、見つめることを。






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