好きを私にください。
ケラケラ楽しそうに爆笑してる塾長。

と、決まりの悪そうな表情の先生。


「…?」

「明海ちゃん♪」


楽しそーうな佑実さんに声をかけられる。


「はぃ?」


怖い…。


「あたしと、お話しよっ♪」


そう言って佑実さんはあたしを社会科室へ連れ込んだ。

何何何っ!!?!?
あたしなんかしたっけぇ!?


「まったく…アンタ、運悪いわね?」

「へっ?」


話が見えないんですけど…。


「あのねぇ、舞佳ちゃんが、和樹のこと“高ちゃん”って呼んだのよ。」

「あぁ…。」


いつもの如く、だね。


「そしたら、塾長が“付き合ってんのかぁ~、そっかそっかぁ~”って言ったのよ。」


腕組をして言う。


「へぁ!?」

「で、舞佳ちゃんが叫んだわけ。」

「運悪いね、舞佳。」

「舞佳ちゃんより明海ちゃんでしょ。」

「そぉ??」


でも、そんなふざけに上がるほどまでに、塾長の疑いは消えたわけだし。


「あれ、でも佑実さんがあたしを連れ出したことで怪しまれない?」

「大丈夫、私が聞きたくなかったって事にすればいいんだもの。」


…佑実さんって本当、変なところで知恵が回るよね…。


「さ、教室に戻りなさい。」

「…うん。」


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