好きを私にください。



「ジングルベール、ジングルベール、すっずがぁ鳴るぅ~♪」


息が白い。

手が、冷たい。


「菅田。」

「あ、持田。」


待ち合わせ場所に、持田が来る。


「早いじゃん、お前。」

「持田こそ。」


待ち合わせの5分前、すでにあたしはいたっていうね。

だってなんか、家にいたくなかったし…。
早く出てきたくて、待ち合わせの15分前にはここにいた。


「どこ行くの?」

「んー、適当に?」

「何それっ!」


今日はクリスマス前日、イブ。

てことで、ちょっぴりオシャレ。
白のニットに、深い緑と紺のチェックのキュロット。

タイツ履いて、茶ブーツに、カーキのコート。


ね、ちょっと…いや、大分?可愛い子ぶってる。
まぁ、なんでもいいけどね。


「寒いね、さすが冬っ。」

「お前、寒がりのくせに…。」


さすが持田、よく知ってるじゃん。

あたしが異常なほどに寒がりで、冷え性だって。


「いーのっ!」


どうせどっかお店入るんだろうし…。

第一まだお昼ちょい過ぎだからね。


「ねーねー、ケーキ買お、ケーキッ!」


ハッとして横を見ると、道路を挟んで向かいの歩道を、カップルが歩いてた。

幸せそう…。


「…。」


あたしも…本当なら先生と…。
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