好きを私にください。
-バンッ


家に帰ってまずしたこと、それは


「お兄ちゃん!」


お兄ちゃんの部屋に乗り込むこと。


「明海かぁ。」


なんか電話してるっぽかった。


「ん?あぁ、悪ぃ悪ぃ。」


って喋り始めたし。

あたしはジェスチャーで誰?って聞いた。お兄ちゃんは困ってる様子。

友達なら友達って言えばいいし、好きな子なら好きな子って言えばいいのに。


それを言わないってことは…先生かも?


「先生…?」


思わずそう声を発した。


「ぅげ。」


そう小さく漏らし、マズイッて顔をした。

先生…!


あたしは思わずお兄ちゃんのケータイを奪った。


「もっ、もしもし!?」

『プーッ、プーッ、プーッ…』


切れた…。


「切れた。」

「はぁ…。」


ため息を吐くお兄ちゃんにケータイを返す。


「で、相手は先生?」

「だったらなんだよ…。」


電話が切れたことに対して怒っているらしい。


「アドレスと番号、教えて。」

「…。」



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