好きを私にください。
「先生、癌なんじゃないの…??」

「…あぁ。まぁ、癌っちゃ癌だけど…。」

「??」

「まだ手術で全然大丈夫な程度だし。」


そうだ、先生はそういうタイプだ…。

タフっていうか…余裕ぶっこきすぎなんだよなぁ…。


「…何?んな心配したの??」

「しっ、したよ…。」


あたしはその場にヘナヘナと座り込んだ。と同時に、汗が吹き出した。

なんせ外は超寒いのに、中は超温かいんだもん。


「だって癌って言うから、先生っ死んじゃうのかと思ったんだもん…!!」


我慢しきれなくなって、涙が零れた。


「塾も来ないしっ…なんも教えてくんなかったしっ!!」

「んー…。」

「急に別れてって…意味分かんなかったんだからぁッ。」

「でも今…」


…??


「持田と付き合ってんだろ??」

「っ…。」


そうだけど…。


「わっ、別れるもん…。」

「そりゃそうでしょ。」

「はぃ!?」


なんじゃそら。


「だって癌が完治したらまた明海ん所行くつもりだったし。」

「…じゃあ別れる必要なんか…。」

「癌治療なんてダセェの見せらんないし。」


ダサくなんかないのに…。


「第一!」


な、何…??


「アンタ、泣いたでしょ?」


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