好きを私にください。
「…分かったわ、連れてってあげる。」


そう言って、佑実さんはあたしの前を歩きだした。


「えっ、あの!!」


待ってくれても…。

もうっ、せっかちなんだから…って言ってる場合じゃ無いっ!


あたしはテケテケ付いて行った。


クネクネ曲がって、付いた先はただっ広い廊下。

ドラマみたい。…じゃなくて!!


「お母さん。」

「あぁ、佑実ちゃん…。」


ゆ、佑実さんのお母さんかな??

それにしては似てない…。


「こちら、和樹のお母様。」

「ぇっ。」

「と、お父様。」

「はっ、初めまして!菅田 明海と言います!!」


深々と頭を下げる。

ドキドキ緊張するよぉ~!


「まぁ、あなたが明海さん??」

「ふぇっ…??」


思わずマヌケな声が出る。


「和樹と佑実ちゃんからいつも話しは聞いてるわ。」

「…えっ??」


あたしはまたまた思わず、今度は佑実さんをガン見。


「…。」


視線をずらして苦笑いしながら、佑実さんは言った。


「さぁ、知らないわねぇ??」


…。


「事故の件は、ごめんなさいね。」

「いっ、いえ!!謝ることなんて何も…。」
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