好きを私にください。
って言いつつケータイに挟んだ先生。


「絶対挟んだままにしといてよね!?」

「はいはい。」


これで安心ッ!!…かなぁ?


でも、これで夜家に帰ってからもあたしの事思い出してもらえるしっ…!!

嬉しいかも☆


その後、あたしはずっとご機嫌だった。


帰る時、あたしは念には念をってことで、先生に声をかけた。


「先生、忘れないでね!?」

「俺、ちゃんと約束守るし。」

「はぁ!?どこが!何度も忘れたくせに…。」

「だって俺優しいもん。」


うわっ…。


「絶対ないって…!」


って否定したら、丁度そこにいた荒川先生に


「えぇ~、高里先生は優しいよ~。」


って言われた。


…そのくらい知ってるもん。


「どこが!?もう何回もCD忘れてるんだよ!?」

「でも優しいよ~、女の人にもモテモテで…」

「絶対ないない!!!」


あたしが優しくない人を好きになるわけないじゃん!!

モテモテとか…言わないでよ。


ただでさえ手の届かない存在なのに…余計ダメになっちゃうじゃん。


「ほれ、はよ帰れ!」


先生…。


「CD忘れないでね?!」

「分かったからはよ帰れ!」


ニコニコしながら言わないでよ、寂しいじゃん…。


「さよーならぁ。」


あたしはそう言って、塾を出たんだ。
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