好きを私にください。
「え…?」


お兄ちゃんが謝った…?


「な、なんで??」


いきなりの事に頭がついて行かないあたし。


「俺、この間…言ったろ?
“先生は諦めろ”って…。」

「っ…。」

「…ゴメンな。」


お兄ちゃん…。



「…お前、今学校で独りなんだろ…?」


…時が止まったみたいだった。


「え…?」


思わず苦笑いする。


「…昨日、泣いてたろ…?」

「…。」


なんでお兄ちゃんにはいっつもバレちゃうんだろう…。


「いつもは“真菜と舞佳がいるから大丈夫!”って笑ってたけど、今回はそれがないから。

真菜ちゃんと舞佳ちゃんとも、なんかあったか…?」

「お兄ちゃっ…。」


思わず涙がこみ上げてくる。


あたしは絶対に家族にはそう言う話はしない。

お兄ちゃんには勘付かれちゃうんだけど。


お母さんに話さない理由は、ただ単に心配かけたくないから。

お父さんに話さない理由は、お父さん、嫌いだから。


お父さん、今の会社で結構偉い位置にいるみたいなんだけど、すぐに怒るから。

お兄ちゃんにはすごい優しいのに、あたしにはすぐ怒るんだ。


あたしは怒られる度、いつもいつも会社で何か上手く行かなかったんだ…って思いながら過ごしてる。

1度、お父さんに怒鳴られた事がある。

それがトラウマみたいで、低い声で怒鳴られると、ダメなんだ。
すぐに泣いちゃう。

…バカみたいだよね、そんなことくらいでトラウマだなんて。

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