好きを私にください。
「お前、学校大丈夫なのか…?」


ドストレートな質問に、答えに詰まる。


「塾も辛いんじゃないのか?舞佳ちゃんがいるからって選んだようなもんだろ?」


そう、そうなんだ。
舞佳にいつも話聞いてたから、楽しそう!ってノリと、舞佳がいるから大丈夫!ってノリであの塾を選んだ。


「…辛いよ、学校も塾も大ッ嫌い。行きたくなんか無いよ。」


俯きながら言う。


「…。」

「でもね、塾は、頑張れる。
塾の先生が、支えてくれるから。何より…大好きな先生がいるから。」


最後の言葉はちゃんとお兄ちゃんの目を見て言えた。


「…頑張れよ、明海。」

「…うん。」

「本当は、俺はお前の恋、大反対なんだ。
でも…その先生が明海の心の支えになってる。
そうだろ?」


あたしは黙って頷いた。


「…だから、仕方ないと思って。」


今なら、大丈夫。

そんな気がして、あたしはお兄ちゃんに聞いた。


「お兄ちゃん、なんかあったの…?」

「…まぁな。」

「…教えて?」

「…彼氏、いたんだよ。」


…それくらいで諦めちゃったのかな。


「…で、その彼氏が、俺の遠いお友達だったんだよな。」


…なんとまぁ。


「だから、俺は身を引くんだ。」


お兄ちゃん…。


「お前には、同じような想いして欲しく無かったから。」

「…もう、してるよ。先生、彼女もちだもん。」

「…そっか。」


小さく笑うお兄ちゃんの笑顔は、すっごい…寂しげだった。
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