好きを私にください。
-塾


「で、ここがX=3になるから…」


今日は数学だった。

担当は塾長。


塾長を見ると思い出すのはあの日の事。



塾長、ありがとう。



あたしは上のクラスに上がった。

そして、一瞬で馴染んだ。


上にいた唯一の女の子は全然平気だったし、何より皆優しいし。

しかも皆知り合いだし。


「どう?菅田さん。」

「ん~…なんとかやっていけそう。」


勉強もなんとか大丈夫そうだし。


「そっか。」

「うん。」


ありがとう、先生。


あたしが選んだことは正しかったのかは分からないけど…

でも、よかったのかもしれない。


少し距離を置くのも、ありなんだろうな。


自分を見つめ直す時間ができたし。

あたしも少しでも変われるなら…変われるように、頑張ろう。



そして、帰り際。


「先生ッ!!」

「ん~?」


今日はいた、高里先生。


「CD!」

「あぁ~。」


…また忘れた…のかな。


「あたしがあげた手紙は!?」
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