好きを私にください。
・。+* 明海 *+。・


先生…先生…。

急に切なくなるあたし。

先生…会いたいよ、先生…先生…ッ!!


「明海ッ!!!!」

「っ!?」


耳元で叫ばれて、目が覚める。


「あっ!?あたしっ…!?」

「アンタ、寝起き悪すぎ~。」


思わずクッションを抱き締めて先生の顔をまじまじと見る。


「…今名前呼んだの、先生?」

「ん?あぁ。だって起きないから。」


そう分かった瞬間、心臓がバクバクいう。


「…そっか。」

「何?怖い夢でも見た?」

「え…?」


なんで…?

先生はあたしの頬に触れて


「涙、出てっけど。」


って言った。


「いや、別に…。ただ…。」

「ただ?」

「切なくなっただけ…。」

「はぁ?」

「…うん、それだけ。…人が恋しくなって、会いたくなっただけ。」


あえて“好きな”は省略してみた。


「ふ~ん。ま、いーや、着いたよ。」

「あっ、本当だ!!行こ行こ、先生!!!」


あたしはカバンを持って、車を降りた。


「ひゃ~、家族以外とここ来たの初めて!!」

「そりゃガキんちょだもんな~。」
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