好きを私にください。
その後、本屋さんに行ったり、いろいろとお店を回った。


「高ちゃん、もう5時半だよ!そろそろ帰ろ?」


本当はまだ帰りたくなんか無いけど…でも、先生に迷惑かけちゃいけない。


「そうだな~、ゴメンな、菅田。」

「え?なんでが先生謝んの?」

「他の奴だったら6時くらいまでここにいれたろ?」


あぁ~、確かに。そうかもなぁ。


「それと、アンタ、俺のこと先生って呼んでる。」

「あ…。」


呼んじゃった。

先生は間違えることなくあたしのこと“菅田”って呼ぶのに、あたしはどうしても“高ちゃん”って呼べない。


でも、塾では呼ばない自信あるよ!?だって、他の人に呼び方パクられたら…ショックだし。


「まぁ、いーけど。帰るよ~。」

「あっ、うん!!」


先生の車に乗り込んで


「ふぁ~…先生のこと高ちゃんって呼ぶの、想像以上に難しかった!」

「俺だって反応できねぇよ、あの呼び方!」

「あははっ☆」


先生は車を走らせながら


「それじゃ、アンタをアンタんちの前に下ろして、俺塾このまま行くわ。」

「先生荷物は?」

「持って来たから大丈夫。」

「そっか。」


何を話せばいいんだろう。話す事が無いや。

でも…気まずさが無いのはなんでだろう。


先生といる、それだけでホッとするかも。


「今日からだよね、アンタの好きな人探んの。」


家が近くなった時、先生が言った。


「あ…そう言えば。って、好きな人いる前提!?」

「もちろん。」
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