好きを私にください。
全部全部…嫌。


「嫌…。」

「ショックなのは分かるけど…こんなことしててさらわれでもしたらどうすんだよ!?」

「もうどうなったっていいよ…!」

「ッ!!」


お兄ちゃんは、諦めたのか、いなくなった。

見捨てられちゃったかな。


でも、ゴメンね、お兄ちゃん。

ショックすぎて…心が追いつかないよ。整理できないよ…。


時計を見ると、もう9時半過ぎだった。

授業、終わっちゃった。


あ~あ、あたし、最悪…。

親のお金でせっかく行かせてもらってる塾、サボっちゃうだなんて。


「先生…っ。」


会いたいよぉ…。

バカっ…。




「何してんの?アンタ…バカじゃないの?」




上から降って来た声に思わず固まる。

嘘…。


「塾サボんなよ、アンタの苦手な理科なのに。」


なんで…ここにいんだよ、バカ…。
塾があるのに…。


「先生にバカって言われたくないよ。」


先生がなんでいるの?


「先生っ…。」


涙がこみ上げてくる。


「たく~…何泣いてんの~?」

「だってっ…先生塾~…。」

「意味分かんねぇし!!チャリ出しの手伝いのついでにちょっと。」

「バカじゃん!?こんなことしたらっ…塾長に怒られるよ…!」
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