好きを私にください。
なんであたしは教えてんの!?


「ほれ。」


そう言って返されたケータイ。


「…何したの?」

「さぁな~。」


…うわっ。


あたしは冷たい視線を送ると、1番可能性の高いアドレス帳を見た。


「…あ。」


“高里 和樹”


タ行のところに登録された先生のアドレス。

表示名は“和樹”になってる。
なんで?


「アド…なんで?教えてくれなかったのに…。」

「気が向いた。」

「…超気分屋。」

「うっせーよ!」


でも…嬉しい。


「で、命令は?」

「命令命令言うなよ…。俺がアンタパシッてるみてーじゃん。」

「で?」

「…。」


黙りこくった先生。

えぇ!!そこまで言ったら…言おうよ!?


そっそんなやましい事かなんか!?
てか言いにくい事!?

何~!?


「俺、亮の部屋行く。」


そう言って踵を返した先生。

待ってよ…。


「逃げるなんて卑怯だよ!!」


息が荒くなった。
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