初めての気持ち
一人
久しぶりにくぐる校門。
懐かしい―とかそういった感情は湧かなかったけど、校門をくぐった瞬間、私は``私''でなくなったのが分かった。
自分の本当の気持ちは一切口にせず、周りとは常に一定の距離を置いている、無口の仮面を被った私。
先生の視界に私が入った瞬間、驚いた様な、怒った様な、そんな顔をした。
髪の色、服装のことで注意された私は、始業式には出させて貰えなかった。
蒸し暑い理科室で始業式が終わるのを待つ間、思う事はただ一つ。
―あぁ、また帰ってきたんだ、一人ぼっちの空間に…