あの時の僕たちへ
『 1 6 ~ 春 』
「妊娠したかも。」
高校の入学を終えて
もう春が終わる6月の事だった。
私の親友ナツミが
妊娠2ヶ月だと分かり
私(レイ)はすぐに
相手を問い詰めた。
ナツミには彼氏がいない。
小学も中学も一緒でいつも
どんな時も2人でやってきたから
ナツミのことはよく分かる。
私もナツミも見た目は決して
"真面目"じゃない。
髪を派手に染めて、
耳にはいくつかのピアス、
カラコンにつけま、
制服を改造して着て
とても流行りに敏感だった。
でも心だけは
それなりに"真面目"だった。
「彼氏いないよね?」
私は雑音にまみれた教室の隅で
ナツミの腕を掴みながら
小さな声で問いかけた。
「いないけど好きな人はいた。」
「じゃああいつと?」
「‥うん。だから‥」
「ソーマとの子供ってわけか」
そう私が言うと
ナツミは黙って頷いた。