あの時の僕たちへ

ソーマは決して悪いやつじゃないと
思ってはいるけれど
まず、
ナツミと付き合ってるわけじゃないし
体の関係があったなんて
私自身知らなかった。


ナツミは私にこれまで
一度だって隠し事なんて
した事なかった。
ましてや恋愛となると
ナツミの方から話すほど
根っからの恋愛体質なのに。。



なぜか私は
ナツミに何も言えなくなってしまい、
雑音だらけだった教室なのに
二人の間にとても静かな
長い沈黙が続いた。



「あたし産みたい。」



沈黙を破ったのは
ナツミの自信のない
小さな声だった。



「ナツミがひとりで判断できるような問題じゃないでしょ?」

あたしは酷く冷静だった。

「やめた方がいいと思う?」

「‥‥わかんない。ソーマには話した?」

ナツミは首を横に振った。

「じゃあまずソーマに言わな――」

「だめ!!それは絶対だめ!!」

私がまだ言い終える前に
ナツミが大きい声を出した。
目には涙が浮かんでた。

「ソーマに嫌われちゃう。こんな事言ったら下ろさなきゃいけなくなるし嫌われちゃうし‥やだ‥。」

手を震わせて泣き出すナツミを
周りの生徒達がチラチラ視線を送る。

「ちょっと‥場所変えよう。」



私とナツミは教室から逃げるように
廊下に出て屋上に向かった。

< 3 / 4 >

この作品をシェア

pagetop