不器用なシタゴコロ
「……っ?!」
グッと近づいたとーやクンの顔と、摘まれた頬。
そして。
この距離に、顔どころか体温急上昇。
でもとーやクンはそんなのおかまいなしに言葉を続ける。
「いないって思った時点で連絡くれればよかったのに」
「だ、だってとーやクンのケータイ知らない…」
「…俺の着歴残ってない?」
「あ…」
…言われてみればそうだった。
なんでそんな簡単なことに気付かなかったんだろ…。
「まぁ、俺も電話忘れて探してたんだけどさ」
テレ隠しのような、からかうような。
苦笑混じりのとーやクンの言葉で。
よけいに恥ずかしくなってくる。
「…とりあえずここ、離れようか」
「え?」
言葉の意味がわからなくて。
とーやクンの顔を見たまま、まばたきパチパチ。
「ここ、入り口。みんな見てるから」