不器用なシタゴコロ
「とーやクンはなんで私のケータイ知ってたの?」
水族館を出て。
お昼にしようか、というとーやクンの言葉をそのまま受けて。
パーク内のレストランに入ることにした。
そこで気になってた疑問を投げ掛ける。
「私、とーやクンに番号教えたっけ…?」
「…着歴」
とーやクンは一言、そう言うと。
アイスコーヒーの入ったグラスに差したストローをクルクルと回した。
「着歴?」
着歴ってコトは。
私がとーやクンに電話したってことだよね?
……いつしたっけ?
…わかんないーっ!!
向かい合って座る私は。
そんなに難しい顔をしてたのか。
とーやクンは“シワ寄ってる”と眉間を指差して。
小さく笑うと言葉を発した。