不器用なシタゴコロ
とーやクンの手に握られるピンクと黒のケータイが。
見えない線で繋がれていく。
友達とならよくあることなのに。
…なんでだろ。
今はなんだかすごくテレくさい。
「はい。確認して」
とーやクンが“パタン”とケータイを閉じると。
ケータイは私の手元に戻ってきた。
カチカチとケータイをいじって電話帳を開くと。
そこには名前のない番号とアドレスだけのもの。
「ゆずサンって漢字で“柚”なんだ」
とーやクンも電話帳を開いてるらしく。
ケータイを見つめていた。
「とーやクンは、どんな字書くの?」
「俺?」
確認し終えたとーやクンは。
ケータイをポケットにしまうと、頬杖をついて“フッ”と笑った。
「果実の“桃”に“夜”で“桃夜”」