不器用なシタゴコロ
vol.06
「後ろに置いてある袋、取ってもらっていい?」
車が行きと同じように高速に乗ってしばらくたった頃。
とーやクンが思い出したように言った。
「…これ?」
後部席に手を伸ばし。
手にとったのは濃紺の紙袋。
「それ、ゆずサンにプレゼント」
「プレゼント?!」
なにそれ?!
プレゼントって?!
言葉の意味が理解できない。
だって。
とーやクンからプレゼントなんて…貰う理由がないよ!!
「中、見てみ?」
運転中のとーやクンは。
顔こそこっちに向けないものの。
クスクスと笑いながら袋を指差した。
見ちゃって、いいのかな…。
貰う理由はないんだけどなぁ…。
でも中身は気になる。
とーやクンがいいって言ってるんだし。
…見ちゃえ!!
とーやクンの言葉どおりに中を覗くと。
「…あ…」
紙袋には。
雑誌のようなものが入っていた。