不器用なシタゴコロ

「…ッ…!!」





その指先は首筋から顎に伝い。

とーやクンの人差し指が私の唇に触れた。





「…酒にも、月夜にも…。ゆずサンにも…酔ってるよ…」





そんな歯の浮くようなセリフも。

今の妖艶なとーやクンにはハマってしまう。





ドクドクドクドク…。





さっきから私の心臓はフル稼働。

とーやクンから目を逸らすことも、距離をとることもできなくて。



ただただ。

犯罪級のとーやクンの“色気”に捕われているだけ…。





「…キス、しよっか」

「えっ?!」





とーやクンの甘く、ちょっとハスキーな声が耳を通る。





同時に。

“…ギッ”という軋むような音を立てて。

とーやクンが座っていたブランコから立ち上がった。



 

< 132 / 340 >

この作品をシェア

pagetop