不器用なシタゴコロ
「…ッ…!!」
その指先は首筋から顎に伝い。
とーやクンの人差し指が私の唇に触れた。
「…酒にも、月夜にも…。ゆずサンにも…酔ってるよ…」
そんな歯の浮くようなセリフも。
今の妖艶なとーやクンにはハマってしまう。
ドクドクドクドク…。
さっきから私の心臓はフル稼働。
とーやクンから目を逸らすことも、距離をとることもできなくて。
ただただ。
犯罪級のとーやクンの“色気”に捕われているだけ…。
「…キス、しよっか」
「えっ?!」
とーやクンの甘く、ちょっとハスキーな声が耳を通る。
同時に。
“…ギッ”という軋むような音を立てて。
とーやクンが座っていたブランコから立ち上がった。