不器用なシタゴコロ

ゆっくりと降りてきた柔らかい感触は。

…少し冷たくて。

さっきまで飲んでたお酒の香りがした。





静かに触れていた唇は。

徐々に動きをつけていく。

押しつけられ、挟まれ。

…食べられてるような錯覚を起こす。





『…ん…ッ…』





唇を充てる角度を変えるとき。

時折触れるとーやクンの舌先が。

背中をゾクゾクさせた。





『…ふゥ…ッ…』





絡んでいた指先は。

いつの間にか解かれていて。

とーやクンの腕に。

私は抱き寄せられていた。





「…柚…エロい声出さないでよ…」





キスの合間にそう囁くとーやクンの声の方が。

よっぽどエロい…。





でも。

そんな反論する隙さえ与えてくれない。





とーやクンの唇は。

私を捕らえて離さなかった。



 

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