不器用なシタゴコロ
「だってゆずサン、エロすぎんだよ。
声で誘ってくるし、口半開きにして俺のコト煽るし…。
これ以上したら、マジでヤバい」
…これは、独り言なんだろうか。
それとも、心の叫び?
本当に。
心底苦しそうにとーやクンがため息混じりに言葉を吐いた。
…いやいやいやいや!!
ちょっと待って!!
神妙な顔してるけど。
なにこの変態チックな発言。
“口半開き”…って。
呼吸できなかったんだから仕方ないじゃん。
だいたい“そんなコト”を始めたのはとーやクンの方デショ?!
私は誘ったり煽ったりなんてしてないってば!!
でも。
さっきまでの妖艶なとーやクンを思い出したら。
体がまた熱くなった。
「…顔、赤いよ?ゆずサン」
そう言って私の顔を覗き込むとーやクンは。
“顔がなんで赤いのか、わかってるよ”
と言わんばかりに。
目を細め、唇の端っこを持ちあげ。
意地悪そうに微笑んだ。